『ザ・スタンド』

 本棚を整理していたら、スティーヴン・キング『ザ・スタンド』が出てきた。そんな時間はないだろと思いつつ一気読み。俺が持ってるのは何年か前に出たハードカバーの完全版で、今文庫で出ているバージョン。上下二段組で1400ページって読むのはともかく書くのを想像すると気が遠くなるような長さだ。この長さを大勢の人間が「読める」ように書くのは(当たり前だけど)大変な技術を要する。
 二つの陣営にくっきりと色分けされた登場人物の配置は確かにアレだなとは思うが、こういうのは文化的な土壌の違いだろうなとも思う。個人的には善悪定まらぬハロルド・ローダーに一番魅力を感じる。この長大な小説の中で、俺にとって最も印象的なのはハロルドがパンツ一丁で泣きながら芝を刈るところなんだが、他の人はどうなんだろう。
 キングの小説の中で一番好きなのは『クリスティーン』で、多分これは最初に読んだからに違いない。そういえば『サ・スタンド』のラスト近く、主人公たちが「70年代以前の古いプリマス」を見つけるくだりがある。車のキーについた革のキーホルダーには「A・C」というイニシャルが云々、と書かれているのだが、これは『クリスティーン』のあの車を意識したお遊びなんだろうな。『クリスティーン』の主人公はアーニー・カニンガムだし。
 あとは雷句誠金色のガッシュ!!』17巻、綿谷雪『術』(青蛙房)購入。