『イボグリくん』他

『イホグリくん』復刊……って絶版だったのか。大学生の頃『山上たつひこ選集』に収録されたものを読んだ。物凄いマンガだと思ったけど笑った記憶はない。『イボグリくん』には「主人公が終始狂っている」のみならず、「物語全体も終始狂っている」第二話*1もあって、俺はそっちの方が好き。設定もストーリーも登場人物もどんどん狂っていくにも関わらず、なんのツッコミも入らない。
 特に「主人公がふすま越しに槍で敵を突き刺す→ふすまの向こうにもなぜか主人公がいて槍で突き刺される」という展開には背筋が凍った。もちろん主人公そっくりの奴が敵だったというわけでも、ドッペルゲンガーがいたというわけでもない。そもそもどういうわけなのかなんのフォローもないのだ。刺した方はどうなったんだか分からないまま、物語はそのまま刺された方を主人公にして当たり前のように進む(もちろん、刺された傷もすぐに忘れ去られる)。単に作者の頭がおかしいだけかもしれないと不安になってくる内容。ギャグマンガというジャンルの極北を見たと思った。
『イボグリくん』が復刊されたんだったら、『光る風』もされるかもしれないと期待。文庫版が十年ぐらい前に出たけど、もう絶版だしできれば大判で読みたい。

 ロベール・ブレッソンDVD-BOXと積んであったダリオ・アルジェントの「インフェルノ」をようやく観たり。ブレッソンの「湖のランスロ」が観られたのは嬉しい。驚いたのはBOXに「1」というナンバリングがされていたこと。「2」が出るんだったら、「白夜」と「抵抗」を是非。特に「抵抗」は俺の心の映画なんだよ……ロベール・ブレッソン DVD-BOX 1 (ジャンヌ・ダルクの裁判/湖のランス口/たぶん悪魔が)インフェルノ [DVD]



 

*1:主人公はそっくりだけど、名前が違うので正確には『イボグリくん』ではないのかもしれない。