ここ数年仲のよかったグループがややこしく分裂した。俺は誰とも気まずくはならなかったが、顔を合わせてもいい人の組み合わせを考えるのが面倒になって、全員とほとんど差し向かいで会うようになった。誰と話す時も、みんなで一緒に遊ぶのは楽しかったねという話になる。でも、もう一度一緒に遊ぶつもりがないことは口に出さなくてもなんとなく分かっている。
 今がつまらないわけじゃないし、あの頃はよかったと単純に言うつもりもない。二十代の半ばの自分の鬱屈を思い返すと、ようやく腹に収めた固いものが喉元にせり上がるような気持ちがする。あの頃に戻りたいとは思わないし、今よりもいっそう情けなかった自分には身震いがする。
 取り戻せるものも、取り戻せないものもある。行き来しなくなった人たちの、「あの人はどうしているのか」という質問に答えていると、自分がもう別れてしまった人たちのことをふと考える。その人たちが俺のことを思い出してこのように誰かに尋ねることがあるのだろうか、その人たちの中で、俺はどういう人間なのだろうかと。