イラクの人質事件についてあれこれ。
 個人的にはこれが「誘拐事件」である以上、「自衛」の問題と、「罪」の部分は分けて考えるべきだと思います。行く人は危険を覚悟しなきゃいけないし、出来る限りの自衛策は必要だけど、「危険地域にわざわざ行くバカは死んで当然だ」とまで言ってる人には違和感があります。何よりも誘拐犯が一番悪いんであって、直接的な「罪」は彼らにあります。危険地域云々で言うなら、不法入国で北朝鮮に潜入して映像を撮ってくるジャーナリストや脱北者の支援組織の人たちも「バカ」ってことになってしまいます。
「誘拐事件であって犯人がいる」という原則を失念している人が、「人質は死んでもいい」、また逆に「人質を助けるために自衛隊は撤退しろ」と主張している人の中に多い気がしてしょうがないんですが。誘拐犯の要求が大きすぎた場合、警察は無条件にそれを飲んだりしないですし。
 日本政府はよくやってると思うんだけどな。
 あとはネットで自作自演説が飛び交ってますが、こういう前代未聞の事件が起きた時、必ずと言っていいほど、「実は誰々が真犯人」という噂が流れます。現実に発生する犯罪というのは、たいていの場合、どこかしら不自然な部分を含んでいて、物語のような整合性はないのが普通。某所で「自作自演説の根拠」の一覧表を見たのですが、今のところ地下鉄サリン事件とか、神戸児童殺傷事件の頃にささやかれていた「実はこれが真相」とレベル的には大差ないなという印象です。