泥棒と脱糞。

 数年前、知り合いが空き巣に入られた。靴と服をパクられた上、シャワーを使われて、脱いだ汚い服は律儀に洗濯機の中に放りこんであったらしい*1。しかし、一番嫌だったのは何故か風呂場にあった大便で、あろうことかタイルに脱糞して立ち去ったらしい。昨今の空き巣の検挙率は大変低いので、「お前、犯罪とか詳しくなかったか? なんかコレで推理とか出来ないのか?」と、言われて、
 俺「なるほど。つまり犯人は……シャワーを浴びてからクソしたんだな」
 知「そんな推理意味ねーだろ!」
 さて、犯行現場で脱糞していく泥棒は結構いるらしい。礫川全次『犯罪の民俗学』(批評社)に詳しいが、犯罪者の風習のひとつとして、研究対象になりうるほどの豊富なケースがあるという。かなり昔から存在する風習らしい。有名なケースでは、夏目漱石宅に入った空き巣が、鈴木三恵吉の「長い情の籠もった手紙」で尻を拭いて逃げたそうである。
 中国や日本の泥棒のゲンかつぎという説が有力らしいが、必ずしもそれだけとは言えないようだ。欧米でもこういう例がある。
http://www5.big.or.jp/~hellcat/news/0402/28a.html
「他人の家に入る」ことの心理的なプレッシャーによる生理現象や、プレッシャーを乗り越えようとする心理作用もあるのかもしれない。ここから先は実際に空き巣に入った人間でないと分からない心情に違いない。別に知りたくないけど。

*1:「洗っとけってことかよ!」と激怒していた。