森暢平『天皇家の財布』(新潮新書)

 ほとんど報じられない天皇家関連の予算編成や財産についてまとめた本。興味深い内容だとは思うけど、どっちかっていうと俺が知りたいのは宮内庁の記者クラブの財布だな。天皇家にまつわる予算編成の硬直性やその運用の曖昧さを指摘するのは意義がある。でも、同様に硬直化した記者クラブという組織に属していた新聞記者にソレを指摘する資格があるんだろうか。
 例えば宮中晩餐会の費用について書いた後で、

(晩餐会が)が終わる頃になると、庁舎内に残っている職員に余り物が回ってきて、記者クラブにも総務課の職員がおこぼれを回してくれる。(中略)。「こんなものか」とさして感動もなかった記憶だけが残っている。


「おこぼれ」と言うからには代金など払っていないだろう。官庁たる宮内庁から差し入れられた夜食を、民間の新聞記者が食うという状況になにか疑問を持つべきじゃないのか。記者クラブの記者は宮内庁の職員と同列なのか? 「こんなものか」って言われてもなァ。それ元々は税金だし。